Tips

熱拡散長
交流温度波を用いた測定で重要となる概念です。これは交流的に与えられた熱(温度波)が試料中に拡散するとき,どの距離まで波形を保って到達するかという目安を与えるもので,振幅が1/eに減衰するときの距離を熱拡散長といいます。は長さの単位を持ち,次のように定義されます。

もしも,同一物質で同一の状態であれば,与える温度波の周波数が大きいときには短く,小さいときには長くなります。また,同一の周波数であれば,熱伝導性の良い金属などでは長くなり,高分子などでは短くなります。

一般に試料の均熱性を評価する指標として用いられ,試料の厚さが熱拡散長より十分薄い場合を「熱的に薄い」と呼び,試料内を一定温度とみなして解析されます。これに対して,試料の厚さが熱拡散長より十分厚い場合は「熱的に厚い」と呼ばれ,試料の表面と裏面の間で温度波の振幅が減衰することを意味します。

熱拡散長の逆数を下の式のようにおくと,試料の厚さと周波数,熱拡散率の関係から,熱的な厚さの関係は次のように表すことができます。

ーー熱的に薄い
ーー熱的に厚い
熱流束
一般に高温熱源と低温熱源(ヒートシンク)が一定温度に保たれ,両者の間に一定の熱エネルギー輸送される系を考えます.ここで単位面積あたり単位時間あたりにこの温度勾配を流れる熱エネルギーを熱流束といいます.
フーリエの法則
フーリエの法則は,熱伝導に関する基本中の基本式として広く知られています。熱の流れる量を表す熱流束は、温度勾配に比例しますが、その比例係数を熱伝導率と定義します.
熱伝導率
熱伝導率が大きいほど熱エネルギーを伝えやすい物質ということになります.本来テンソル量ですが、物性値を実測する立場からは一次元の熱流を仮定して解を求めることがほとんどなので、スカラー量として取り扱われることが多いようです.高分子のような熱絶縁物や複合系では,適当な温度勾配が与えにくい等の理由で測定が難しく,データの蓄積が遅れています.実際に求められた熱伝導率は,物質の種類,物質の高次構造,密度,温度,湿度などによって異なる値を示し、簡単なデータベースには成らないことが多く、また複雑な系で正しい値を推定する有効な伝導モデルは確立してので,実用上は測定によって実験的に求める必要があります.
熱拡散率
熱伝導率が温度勾配を熱エネルギーが輸送される時の係数であるのに対し、温度勾配を温度が輸送されると考えたときの係数を熱拡散率といいます。ほかに温度伝導率、熱拡散係数などとも呼ばれます。温度変化を与えて測定する多くの非定常法では、この熱拡散率が直接求まります。単位は m2/secという拡散係数と共通なものです。
熱の四定数

熱伝導率と熱拡散率はどういう関係にあるのでしょうか.長い間,主として測定法上の問題から,熱伝導率が物質の熱伝導性を示す物性値として使われてきました.しかし,熱拡散率の方が測定しやすいことから、熱拡散率へ換算して使われることも多くなりました.両者は以下の関係で結ばれます。

 熱伝導率=熱拡散率x定圧比熱x密度,
ここで 定圧比熱x密度は体積当たりの熱容量となります。

材料によってこの4つの固有物性定数は異なります。体積あたりの比熱は 1.5〜3 J・cm-1・K-1 程度で,物質によらずほぼ一定値であるのは興味深く、材料の熱容量は,その大きさでほとんど決定され,物質の種類高次構造による影響はあまりありません.一方,熱伝導率と熱拡散率は,物質によって3〜4桁も違って来ますし、高分子のような方向によって3桁違う物質も存在します。
熱コンダクタンス・熱抵抗
実際の断熱材などの熱伝導特性を考える場合,物質の物理定数としての熱伝導率または熱拡散率では不十分であることが多く、たとえば気泡を多く含んだ材料や伝導性の粒子が分散している材料などの熱移動現象を説明する場合,放射,対流を含むいろいろな因子の複合の結果として熱エネルギーは伝導していくことになります.このように材料の熱移動を説明する概念として熱抵抗と熱コンダクタンスがあります.本来の定義によれば,熱伝導率や熱拡散率の値は物質固有の定数で,試験片の厚さには依存しないはずですが.上記のような複雑な系での熱移動現象では,測定される見かけの熱伝導率がしばしば試験の厚さに依存します.したがってある厚さの試料で見かけの熱伝導率を求めていることになるので、見かけの熱伝導率を試験片の厚さで割った値を熱コンダクタンスその逆数を熱抵抗と定義し,材料の熱伝導性を評価する指標としています.
Copyright © 2004 ai-Phase Co.,Ltd.