こんな使い方ができます.アイフェイズでは,創立から17年を迎え,約300台のモバイル機を出荷して参りました.アイフェイズ・システムはパーツの大部分は独自の設計・製作しております.ハードとソフトが融合したシンプルかつ高性能な装置に仕上がっております.お使いの皆様のさまざまな目的を機種ごとにまとめました.ご参考に.
M3type 1 超高感度薄膜用熱拡散率測定装置 (旧1u型)
標準的に厚さ10ミクロンから3mmまで,大きさ1mm以上の熱絶縁体からダイヤモンドまですべての試料が測定対象です.
熱伝導率へは比熱.密度で換算します.軽量.簡便で迅速かつ高性能な測定機です.
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主な計測例
ポリイミドフィルムの分子構造と伝熱の関連
プラスチック射出成形物の熱拡散率分布
プラスチックCAEのためのデータベース構築
塗料の環境劣化の評価
感熱紙の断熱層,紙質評価 吸湿性評価を含めて
微量新規ポリマーの熱物性評価法として
両面テープ(剥離紙こみで測定したい)の伝熱評価
液晶ポリマーの配向と熱拡散率の関係
燃料電池用ナフィオン膜の吸湿状態での熱伝導評価
超延伸ポリエチレンの膜厚方法の熱拡散率
ラミネート食品容器の伝熱評価
液晶パネルのバックライト反射板(PET)
液晶の伝熱による配向評価
製薬錠剤の結晶多形と熱伝導
ボロンナイトライドをフィラーとしたエポキシ樹脂
放熱用シリコーン樹脂のフィラーのぬれ性
IC,LED用放熱材料の熱伝導率評価
エポキシ樹脂・接着材の硬化過程での熱拡散率変化
燃料電池用溶剤の評価
冷却用高性能液体
水と各種水溶液
生体材料・食品
石英ガラスと石英とサファイア
YAGレーザー用のクリスタル
合成ダイヤモンド
合成シリコンカーバイドSiC
有機単結晶の結晶軸の方向
鉄系合金薄膜の熱拡散評価
無機単結晶1mm以下の試料の結晶軸と熱拡散率
シリコンウエハのドーピングによる伝熱変化
銅合金の成分の変化による熱拡散率の変化
鉛代替はんだ,すず,鉛,半田の熱拡散率の相違
電子基板用銅箔中の不純物
欠陥の多いプラスチック板
成型ポリマーの切り出し片の分布測定
ガラエポ電子基板のガラスクロスの熱伝導率への影響
2mm厚のアルミ板をそのまま測る
炭素繊維複合材料(CFRP)熱伝導率・熱拡散率
カーボンナノチューブの凝集状態の熱伝導への影響
活性炭素繊維の熱伝導率
携帯電話用各種材料の評価
M3 type 2 温度可変型(180℃)熱拡散率測定装置 (旧モバイル2型)
薄膜TWA装置位相型の簡便な温度可変タイプ.〜180℃.
typeIと同様に熱拡散率が正確に求まりますが,センサーの耐熱性向上のため,あまり高周波数は使えませんので絶縁体中心になります.
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主な計測例
ポリマーの融解過程の熱拡散率変化
電子部品の実用温度でのデータ取得
コピー機のトナーの評価
感熱紙の実用温度での測定
転写リボンの顔料による際
M10 バルク断熱材料
熱伝導率測定装置
M10は温度波の振幅減衰を解析して熱伝導率直読装置です.
気体,発泡体,液体,粉体,プラスチック・ゴム,粘土,食品,布,綿,紙たば,木片などM3薄膜用で測定に苦労する材料向けに開発されました.
写真のように.少量の試料を乗せるだけです.約30秒で測定が完了します.究極の簡便法です.
しかもリファレンスを空気と水としてあります!.カタログはこちら
主な計測例
断熱フォームの見かけ密度と熱伝導率
ゴム・フィラー入りのゴム
水・水溶液の溶質濃度
有機溶剤
グリース・油脂・接着剤
食品・生体材料.天然素材
粉体(無機,高分子,金属)
粉体の荷重(圧力)依存性
紙・布・不織布等の空気を含んだ集合体
吸水分の熱拡散率への影響
発泡プラスティック 見掛け密度と熱伝導率など
接着材の硬化過程
流体の流速変化による冷却効果
M10 type 2 フィルム試料面方向 熱拡散率測定装置
フィルムまたは繊維状の面方向への熱拡散率測定.
M10のダブルロックイン方式で試料は10mm程度で測定できます.
2点間の温度波位相遅れから熱拡散率を算定します.カタログはこちら
M100-IR 顕微赤外CCD二次元温度解析機(受注生産)
赤外線カメラを面温度計として活用するために,レンズ系,カメラ出力の温度への換算方式,データ取得・録画,画像解析,試料ステージまで,目的に応じてカスタマイズ致します.
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受託測定を申し受けます. 上記の各装置をお試しになりたい場合は有償ですが,受託測定を致します. また,簡単なチェックでしたら,弊社へ試料をお持ちください.無償にて試し測定とご説明を致します.JR目黒駅前です.出張の際などにお気軽にお立ち寄りください.
アイフェイズ・モバイル 詳解
M3 メインアンプ
システムの要は,M3メインアンプです.手のひらに乗る軽量・超小型サイズですが,機能は充実しています.FPGAの高性能化にともなって,二位相型ロックインアンプ2台,PID型温度コントローラ2系統,ファンクションシンセサイザー2台のほか,さらに入出力をカスタマイズできます.省エネ設計は前モデルと同様で,type1では,USB給電だけで稼動します.これ一台あれば,プローブ(サンプル設定部)を差し替えるだけで,複数の測定機へと変身させることができます.パソコンとはUSB接合ですが,目的に応じて専用のソフトウエアで駆動できます.M3 type 1, M10 はパソコンなしでも測定可能です.type 2はM3,10ともにウインドウズパソコンが必要です.
M3試料部 M3シリーズの外観はすべて共通のホチキス形状となっております.先端の試料設定部は測定に応じてセンサー・ヒーターなどが変更されています.厚み計,アームリフター,ストッパなども目的別に異なります.
M3 type 1 薄膜用超高感度 熱拡散率測定装置
センサーとヒーターの熱容量をぎりぎりまで軽量化することで,温度波の高速応答を実現し,超高感度を実現しました.周波数帯は0.01Hzから1000Hz超までの5桁変えることができるため,1ミクロンの薄膜から2mmの板状まで対応できます.差動トランス式厚み計を内蔵し測定中の厚みを逐次計測し変化に対応しています.また絶縁体から金属・ダイヤモンドまで,粉体,液体,紙などあらゆる物質・材料に対応します.写真のブルーの部分が試料台で,中心の黒い点ところが温度波センサーです.有効サイズ0.5x0.3mmと極めて小さくなっています.試料サイズは最低で1mm.大きい試料でも切り出さずに分布を測定できます.
均一な物質・材料であれば,熱拡散率が短時間で正確に測定できます.測定時間は1分程度が標準です.温度波の振幅は原則的に1℃以下ですから,相手にダメージを与えず,液体試料でも対流なしに測定できます.調整してあれば,経験は全く不要としたオートモードを搭載しています.USBバスパワーで駆動できる省エネ設計です.
M3 type 2 薄膜用温度可変型 熱拡散率測定装置
TYPEIの温度可変型です.基本的性能は同等ですが,室温ら180℃までを0.1℃刻みでステップ昇温できます.断面図を示しますが,下部にマイクロヒーターを仕込み,試料が接触している狭い部分だけ温度上昇させています.昇降温は迅速で,室温から100℃の安定まで20秒程度です.周辺部は室温のままですから,全く安全な設計です.センサーの耐熱性能向上のためにセンサーが0.6X1mmと若干大きくなり,周波数が100Hz以下と限定されますが 100-1000ミクロンの試料ついて,実際の使用条件である100℃前後などでの熱拡散率がすばやく測定でききます.ポリマーの融解過程も測定可能です.厚み変化も計測しますので,簡易TMAとして,ポリマーの融解・ガラス転移現象も見えます.
M3 type 3 薄膜用ゼーベック係数・電気抵抗測定装置
上記の熱拡散率測定装置と,外観は同一です.小型軽量,小試料,迅速測定は全く同様です.上部のアーム先端に1mm間隔に4本の熱電対(リード線を兼用)が取り付けてあります.下部は,熱電対に照応してマクロヒータが4つ並んでいます(写真ベース部の黒い四つ).試料を挟んで中央二つのマイクヒータに交流温度波を与えます.2つのヒータに交互に通電する事で温度勾配を反転させますので,熱起電力もヒステリシスカーブを描き,左右電極の接触等によるアンバランスを解消できます.また上部4電極だけを用いて,両端を電流制御し,中の二つで電圧を読んで電気抵抗を算定します.この場合も極性を連続的に反転させることで, 接点の熱起電力分などのノイズを大幅に減衰させます.
TYPE 0
M3の熱物性計測を省いた厚み計として特化したモデルです.荷重が軽くできるためにソフトな材料の膜厚計として重宝です.測定範囲は,約3mm程度以下で,表示分解能は0.1ミクロン.結果はパソコンに記録されます.(受注生産)
TYPE 00
M3 Type 2の試料台のみを使った少量試料用ホットステージです.下部試料台の温度設定することが出来ます.制御温度範囲は およそ50〜180℃です.試料がmgオーダーの少量ですから,所定の温度まで10秒程度で到達し,冷却も高速です.赤外線カメラ用ステージとしても使えます. また同時にアーム部に別途ヒータを取り付けることができ,上部ヒータを独立して温度制御することで,特殊熱処理用ホットステージにもなります.(受注生産)
M10 アンプ
本測定のアンプは,正弦波発生熱源,二台のロックインアンプ,計算機能,液晶表示機能をもち,パソコンなしで結果がえられます.電源は12V2Aで主にペルチェ素子への給電になります.M3シリーズと同様,プローブ部を差し替えて使います.typeIでは,ペルチェ交流熱源の直上に設定した参照試料の両サイドで,サイン波をロックイン検出し,両者の位相差と減衰振幅比を算定します.周波数は0.01Hzから1Hzまで可変です.この減衰比が熱インピーダンスとなります.typeIIではヒータと,二つのサーミスターを同一平面にならべ,橋渡ししたサンプルを流れる温度波の位相遅れから,面方法の熱拡散率を計算します・
M10 バルク低熱伝導材料 熱伝導率測定装置
装置は,ロックインアンプ,発振器,演算システムの入ったコントロールボックスと温度センサーとヒーターで構成されるプローブ部からなっています.プローブ部分は,センサー摩耗などがあり消耗品です.モバイル10は,温度波の拡散減衰現象から熱伝導率を直読する方法です.試料に圧着する部分を温度プローブと呼びます.図のような構成になっています.センサー1と2は,平行になるように設置されています.温度波プローブとして,サイズで30mm角のペルチェ素子と温度センサーを有するものを標準としています.有効な計測部分は 中心の5本線の先端部のおよそ1x5mmの範囲です.周辺はガードヒーターとして作用します.サンプルは感度部分を覆う程度 最低でも1cmx1cmをご用意ください.大きな物体(壁など)に圧着しても測定可能です.
標準プローブは,図に示したように,順にアルミヒートシンク,ペルチェ素子,温度センサー1,参照試料(0.5mmPET板など),温度センサー2,(さらに通常は保護フィルムを介して),測定サンプルの順にパーツを貼り合わせて構成されています.ここでペルチェ素子に0.05Hz出力30%(振幅を可変させる)のサイン波を通電して,温度波を発生させます.この温度波は 室温プラスマイナス1℃程度の微弱な振幅を基本としますので,指を当てても全く感じられない程度です.
測定時は,上図右のように,プローブを被測定体に圧着します.方向は上下左右どちらでも構いません.堅い試料は平滑でないと接触不良が起こります.また密着させるために,グリースの塗布を適宜行います.この温度波は当然全方位に拡散していきますが,参照試料を介して,センサー2に圧着した被測定体へ向けて拡散していく流れのみに着目します.ペルチェ側の振幅(Amp1)とサンプルと接した表面の出力振幅(Amp2)の比を測定しています. およそ4-6波で定常になりますので,その時,センサー1と2を通過する温度波の振幅比を測定します(同時に位相も求めています).この減衰率の逆数が熱伝導率と直線関係にあることを利用して換算します.測定しているのは減衰率です.この逆数は熱インピーダンスに相当する値で,熱伝導率値既知の二つ標準物質を用いて換算しています.
参照試料(基準抵抗)はPET500ミクロンフィルムです.粉体などは袋ごと乗せて測定し,袋分を風袋として差し引けます.熱伝導ゴムなど 0.5〜5Wの試料用に,参照試料として低抵抗なものを選択します.測定は熱インピーダンス(熱浸透率の逆数に相当)ですから,体積比熱の影響を除去して熱伝導率へ換算しています.この換算には,比較試料が2つ必要です.写真は液体用セルの一例です.
水と空気は,だれでもどこでもいつでも入手できる標準物質として最高です.M10は,熱インピーダンスを測定し熱浸透率求めているのですが,どうしても熱伝導率がほしいという要望が常にあります.こ熱浸透率は熱伝導率と比熱の積の形ですから,どうやっても分離できません.したがって,標準物質を使って,比熱の変化が無視できる低周波で測定して,モル比熱は物体によらずほぼ一定(デュロン・プティの法則)であることを頼りに熱伝導率を算定するのです.水と空気は,水と油以上に違うものですが,ともに等方流体ですし,接触不良も起こりにくい物質です.ほかに適切なものもありませんから,これらの熱伝導率を標準値に用いると,驚くほど「正しそうな値」になります.アイフェイズ社では,簡便でしかも「入手容易」というところに惚れ込んでいます.空気は気温の変化に若干敏感ですが,不安な人は自分で標準物質を適用することもできます.気体の熱伝導率測定は従来法では至難の技を要求します.相当な断熱材ですから温度差を与えないと測定できないからです.温度差を与えると,対流は生じるし,輻射放熱も無視できなくなります.M10では±1℃以下の微弱温度波の減衰を測定できます.空気には意外な粘性があって,少しの温度差では重力場でも壁から離脱できないのです.それに逆向きにすれば重力場も作用しません.実測では写真1のように,センサーをアルミのドーム(飾りぼたんの容器)で覆うだけです.風と輻射が止まりますので,このときの減衰率を空気の値とします.このとき重要なのは保護膜もカウントしているということです.熱抵抗は熱流方向に加成性があることを利用しています.同一条件で,水と空気の減衰率値を求め,未知の材料の減衰率を測定して熱伝導率へ換算するのです.熱伝導率が低い,気体,発泡体,粉体,液体,ゴムなど1W以下の材料の測定用です.
M10 type 2 面方向熱拡散率測定装置
本装置は、システム一式(本体アンプ,試料プローブ部,データ解析ソフトウエア,ケース,基準物質)により構成される。
1) 測定方式は、微弱な交流温度波の伝搬観測する方式。
2) 交流温度波の検出は、ロックイン増幅による温度波伝搬の位相遅れから熱拡散率を算定する方式。
3) 計測対象薄膜は、基板上に形成したフィルム状の任意の方向または繊維状試料を選択でき、試料全体の大きさは最短測定試料長10 mm(5mmでも試料によっては可能)で長い方には特に制限が無い。
4) 計測対象試料の厚さは、0.005〜1 mmの範囲で、試料に対しての前処理(黒体塗料など塗布)などは不要である。
5) 熱拡散率の測定範囲は原則的に0.1〜10 mm s-1である。
6) 計測時は室温であるが、プローブ部分は温調室等に設置できる.
7) 測定周波数は、1mHzから1Hzの範囲で任意に決められる.
8) 測定温度波振幅は、約±5K以下とし、測定対象(試料種および試料長)によって変更できる。
9) 12 V2A電源
10) データ出力は、USB経由でパソコンへ転送し自動ログができる.標準添付
11)測定は6-7波で完了する.0.1Hz ならば約1分となる.
12)M10アンプ本体にtype2型プローブを挿し,専用ソフトによって表面型熱拡散率測定装置へ転換できる. M10type1はペルチェ駆動なので,入力周波数と同一の周波数で温度波も発生し,type2(表面型)ではジュール発熱となるために2倍の周波数の温度波が発生します(2fモード).
測定ソフトで条件設定を行います.測定は自動で,完了するとログをとります.データは,日時,周波数(Hz),印可電圧,センサー1の振幅,センサー2の振幅,センサー1の位相遅れ(ヒータからの),センサー2の位相(ヒータからの)が自動的に記録される.一周波数での測定が終わると 全測定点数の平均値を計算し,次の周波数に移ります.全測定が完了すると,測定してすべての周波数での平均値を,周波数のルートと位相遅れ,振幅のプロットをして傾きを求めます.傾きの二乗が拡散時定数,その拡散時定数と距離の二乗の比が熱拡散率に相当します.接触型では有効長さは明確に定義できません.そのために値のわかっている物質での測定から長さを決めます.たとえばカプトン500Hの表面方向サンプルは 4.8X10-7 m2s-1 (推定)
測定環境.雰囲気は変えられるか
測定をガス置換した状態で行いたいという要望があります.センサー部とアンプ部が切り離されているのですべての装置で可能です.デシケータや,グローブボックス内にセットして,水素存在下,蒸気圧制御した系,減圧した系で測定した事例があります.手軽には,市販の冷蔵庫,加熱炉に入れて,-15℃から80℃程度まで測定できますが.これで結構守備範囲が広がります.それ以上の正確な温度調整は,モバイル2(M3type 2)をお使いください.
受注製作致します
アイフェイズ社の装置群は,温度波を利用した熱物性測定装置です.いずれも,小型軽量,迅速測定,少量試料,経験不要の測定者に寄り添った装置です.また省エネルギーマシンでもあります.
上記の装置以外にも,実績として赤外カメラを用いた二次元的な熱物性測定装置,M10を用いてインラインでの連続測定装置など大がかりな測定系も受注製作致しております.試料や測定目的に応じて,きめの細かなご相談にも応じております.一度サンプルをお持ちになってアイフェイズ社(JR目黒駅前)へお運びください.きっと御希望に添える装置.方法論が見つかると思います.測定できないものはないと自負しております.