シリコンウエハ上の薄膜は測定できる?

 問い合わせの中で,上位に来るのがこの質問です.500ミクロンのウエハ上に形成した1ミクロン以下のスパッタ膜・塗布膜などの測定です.
 シリコンは導体なので,絶縁膜の使用は不可避ですが,これが数ミクロンのPETフィルムなので,それ以下厚みの塗布膜を分離して計算することの困難さは直感的に推定できます.
 加成性がある数値である温度抵抗,d/√α を厚み方向で考えます.上下二枚の絶縁膜,シリコンウエハ,1ミクロンガラス塗布膜として,前二者をベースラインとするとして,温度抵抗は,mm単位で,0.009/0.0003,0.5/0.01,0.001/0.0006が傾きになります.30,50,1.7の割合になります.全抵抗に及ぼす試料の抵抗寄与は約2%.さらに,シリコンウエハは横にも熱が拡散するのがいっそう事態を複雑にします.
 接触と,薄膜試料の厚みの評価が問題となり厳密な熱拡散率の決定は難しいと思います.ただし,絶縁膜を薄くするなどで試料の寄与率をあげ,また繰り返し測定することで,試料間の比較では有意な差は求められるのではないでしょうか.他に方法がなさそうなので試してみる価値はありそうと思います.